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執筆者の写真Bucho

捕らぬ狸の皮算用|福岡の不動産会社の営業日報的ブログ



こんにちは、buchoです。


春の陽気に包まれていた昨日までとは打って変わって、今日は寒いですね。天気予報をみたら、最高気温は前日比でマイナス11℃…。季節の変わり目、皆様くれぐれも体調面、ご自愛くださいませ。


さて、今日のブログは売却編。【机上査定】をテーマに記事を書きたいと思います。


机上査定とは端的に言いますと、査定対象不動産を【現地調査未実施】の状態で行う査定のこと。一般的には机上査定とか簡易査定と言います。その内容は、大抵の場合、査定対象不動産の存するエリア内の直近の取引状況のみで査定を行うというもの。


正直なところ、区分所有マンション(=分譲マンション)の場合は、ある程度近い数字のご提示が可能ですが一戸建てや土地の場合はなかなか難しいんです。


なぜか。


一戸建てや土地の場合は、その不動産が接する道路及び隣接地との高低差や道路幅員(特に4m未満の場合)、土地の形状等によって、査定価格が大幅に変わるためです。区分所有マンションにはこれがないため、机上査定であってもある程度的を得た価格の提示が可能という訳ですね。


たとえば…


査定対象不動産の前面道路が2mだったとします。こうなると、その不動産を売る、売らないにかかわらず、建替えの際には、セットバックが必要となります。セットバックとは簡単に言えば、前面道路を4mにするために、1m※×接道の長さ分の面積を道路としないといけないというもの。


※幅2m道路の中心線が真ん中だった場合で、道路の両サイドに宅地等が存する場合。片側セットバックなら2mセットバック要。


接道の長さが20mであれば、1m×20m=20㎡を道路としないといけません。20㎡=約6坪。その査定地の土地の相場がおよそ坪50万円であれば、300万円も変わりますね。この判断は、机上査定だとなかなか難しいと言えます。


次に、高低差。


前面道路と査定対象不動産はフラットであるものの、その奥にある隣接地は4m程下にある…この場合は、大抵の場合、土留めの擁壁が打設されているはずなので、この擁壁の形状等の調査が必要となります。これも、売る、売らないに限らず、建替えする際の建築確認申請時に、既存擁壁のままではその申請が受理されない可能性があります(建築を依頼する会社、建築士の見解による)。


また、4mの高低差があれば、【がけ条例】にも抵触します。これは万一、擁壁が崩壊し、がけ崩れが発生した場合、居住者および隣接地の生命を守るため、上にあると土地であれば、地中杭を長く入れたり、下の土地であれば、がけから一定距離離して建物を建てたりRC構造にしたりという対策が必要となります。これも、査定対象地の確認をできない場合においては、判断が難しくなります。


このような事情から、一戸建てや土地の場合は、机上での査定は難しいんです…。前記のような不動産の場合は特に。


そのエリアの相場の坪単価×土地面積を提示するだけであれば不動産会社の営業じゃなくとも誰でもできるんですが、机上とは言え、価格を提示する以上、そんな適当なことはしたくないので、こちらからすれば、現地調査を踏まえた価格提示をしたいというのが正直なところなんです。


擁壁を打ち替えるのに500万円かかる…既存の建物を解体するのに300万円かかる…セットバックで相場的に見れば300万円程度目減りする…。前記のとおり、坪単価×土地面積が3,000万円と割り出されても、そこから上記の金額を差し引けば、土地としての査定価格は1,100万円マイナスの1,900万円となりますよね。


不動産の査定を依頼されるご相談者様は、何かしらのご理由やご事情、ご計画があってその依頼を不動産会社にされる訳ですから、依頼を受ける我々不動産会社の営業は、査定はシビアにみないといけません。なぜなら、売れる価格が捕らぬ狸の皮算用では、計画自体が頓挫する恐れがあるからです。


という訳で、一戸建てや土地のご売却をご検討中の方は、現地調査・確認を踏まえた価格提示を受けられることをおすすめいたします。


ではまた。



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